• location:HoshinoResorts Tomamu
  • photo:Miho Furuse
  • text:Lisa Obinata
Vol.3

2泊3日のトマム滞在、最終日の朝。夜から降り続いていた雪は止み、太陽が差し込みます。朝食会場となっているリゾナーレ最上階のビュッフェレストランプラチナムからは、ゲレンデやリゾートが一望できる圧巻のランドスケープ。絶品フレンチトーストを頬張りながら、今日やりたいことをみんなで出し合います。

「降雪後の晴れ」という撮影にはまたとないチャンスを逃すまい、と2日目の大輔父さんと同じように、陽子母さんとカメラマンは朝一のゲレンデへ向かいます。3人の子供たちは、筆者と部屋で待つことに。次女のアオイが言います。「お母ちゃんお仕事だからお絵かきして待ってよう」。子供たちも母はプロスノーボーダーだということをよく理解しているようで、グズつくことなく3人仲良く遊んでいました。

トマムのゲレンデは、ファミリーやビギナーに優しいだけでなく、条件付きで森の中を滑走できる「上級者限定解放エリア」を設けていたり、本格的なスノーパークが設置されていたりと、上級者でも飽きずに遊べる懐の深さが特徴的です。

1時間で戻ってきた陽子母さん、その表情を見ればいかに良いコンディションだったかは想像に難くありません。フレッシュパウダーと青空で、短時間で良いショットをメイク! 長年培ってきたスノーボーダーという被写体から“お母ちゃん”モードに戻ります。

アドベンチャーマウンテンのスタンプカードを大事に保管している長女のアカリ。昨日は全部集めきれなかったので、続きを集めに行くことになりました。2歳児リョウのスキーをサポートするお父さん不在につき、筆者がお手伝いしながら、みんなでゲレンデクルージング。子供の成長の早さなのか、佐々木家のスーパーDNAなのか、3人の上達っぷりは目に見えるかのよう。ちなみに佐々木家では3人ともスクールに入れたことはなく「止まる、曲がる、リフトの乗り降り、スキー場のマナー」だけ教え、あとは両親を見て勝手に覚えたそうです。

アオイは圧雪されていないコースもボーゲンでバランスを取りながら上手に滑り、リョウはひとりでも滑れるように! アカリのスタンプ集めは、昨日よりもレベルの高い「スーパーカべカベ」や「コブコブ」という難コースが出現。みんなが休憩している間も、黙々とチャレンジして、ついに全アイテムをクリア! スタンプカードはいっぱいに埋まりプレゼントをゲットしました。大きな達成感を得られるばかりか、知らず知らずのうちに上達してしまうトマムオリジナルの優れたプログラムなのです。

どこにスタンプがあるかゲレンデの中をあちこち探すのも面白いんだよ~!

午後はネイチャーガイドとともにスノーシューハイキングとバウムクーヘン作りを体験することになりました。トマムでは数え切れないくらい多数のウインターアクティビティがラインナップ。スキーやスノーボードをしない人でもトマムの豊かな自然と雪の世界を感じることができるのです。

スノーシューを履いて、だだっ広い雪原を歩いたり走ったり、斜面を見つけたらソリで滑ってみたり。子供たちの笑い声が森に響きます。最後の登り坂を登り切ると、森の中に小さな山小屋が出てきました。薪ストーブでソーセージとパンを焼くと即席ホットドッグの出来上がり! 炭火で焼かれた熱々ソーセージはカリッと香ばしくなんと美味しいのでしょう。みんなで火を囲み、暖かい野菜スープもいただき、ホッと一息。

ガイドさんは言います。「ここトマムは一大リゾートだけれども、近隣の占冠(しむかっぷ)村の人口はわずか1600人。北海道の本物の自然が残る山なんです」。電気も通らない山小屋と周辺の豊かな自然。ゲレンデやホテルと少し離れただけなのに、森の静寂と薪の燃える香りを感じ、本当に山の奥深くにいるかのような穏やかな時間が流れます。

お次は雪原に佇む秘密基地「コタ」の中でバウムクーヘン作りに挑戦。長い竹の棒に、バウムクーヘンのタネをつけて、回しながら炭火でじっくりと焼いていきます。ちくわのような不思議な形も、焼きあがって中央の筒を外せば、きちんと年輪を刻んだバウムクーヘンに!

みんなで作ったバウムクーヘン、温かくて美味しかったよ~

おもちゃ箱のように、楽しいことが次から次へと飛び出してくるトマム。子供たちはまだまだ帰りたくない様子だけれど、帰宅の時間が近づいてきました。

チェックイン・チェックアウト時やロビー近辺で待機するような時、とっても便利なのが、キッズスペースやブックカフェ。リゾナーレザ・タワー、どちらのホテルにもロビー近くに設置されているこれらのスペースは、親が会計の間に子供たちを遊ばせておくことができたり、バスが来るまでお茶をしながら本を読めたりと、快適に利用できる空間なのです。

スキーは荷物も多いし、3人の子供たちはじっとしていないから、こういったスペースは本当に有難い!

最後に、大輔父さんと陽子母さんのコメントをご紹介。

大輔「家族でスキーに行く場合、コース構成を重視してスキー場を選びます。レベルの違う3人の子供たちみんなが楽しむのにトマムは適しているんですね。スキーを始めたばかりのリョウの技術を伸ばすには、なだらかで広い斜面のあるところ。アオイはニポの森のような緩やかだけどアトラクションがあると面白がる。アカリは下の子たちが迂回コースを滑る時にショートカットできるようなコースレイアウト。トマムにはそれが全部あって夫婦で分担して、いろんなバリエーションが取れるのがいいですね」

陽子「とにかくファミリーのことをよく考えてくれているリゾートだと思います。ホテル内あちこちにあるキッズスペースや、スキーインスキーアウト、アドベンチャーマウンテンのスタンプラリー、フード付きリフト、夕食ビュッフェでは子供を乗せながら食事を取れるカートがあったり、スタッフの方が記念撮影を撮ってくれたりと、細かなところにも気配りがされています」

今回、佐々木ファミリーの取材を通して改めて感じたことは、子供たちは雪があるだけで勝手に遊び、スキーも覚えていくんだ、ということ。 大輔さんも陽子さんも、子供たちにあれこれ言わず、好奇心を引き出しているような姿が印象的でした。子供たちは広いところでは駆け回り、斜面があれば登り、下りは滑ったりジャンプ。心のままにクリエイティブな遊びを生み出すものです。親は過剰な心配をしなくても、子供は計り知れないエネルギーとバランスと習得能力で、面白そうなところに本能的に惹かれていくのでしょう。

トマムは、そんな子供たちが潜在的に持っているパワーを最大限に発揮できる雪のステージ。子供騙しの遊具ではなく、全てがビッグスケールの本物の自然の中で子供たちは大冒険ができるのです。たとえ雪山に不慣れなお父さんお母さんでも安心して子供たちを遊ばせることができ、はたまた親も満足できる仕組みが整っている場所。家族で出かけるトマムはきっと全てのファミリーにとって、収穫の大きな旅になることでしょう。