旭川エリアの雪に魅せられた3人が語る
星野佳路×佐々木大輔×若山泰生

後編
スキー都市宣言「旭川」の魅力(3/3)
星野
話戻りますけど、北海道パウダーベルトを活性化させるには富良野エリアが重要なんです。
大輔
スキー場としてはニセコの次に盛り上がっているのが富良野ですね。
若山
その辺りの提携パスとかもあるといいですね。
星野
そうなんですよね。富良野、旭川は結局夏がメインなんですよね。リゾートでは夏の集客が伸びてくると冬のサービスが充実するんです。もう少し夏が盛り上がるといいですね。
大輔
倉本聰さんにもう一度『北の国から』作ってもらわないと。
星野
もう少し夏のコンテンツもアップデートしないといけませんね。道東観光って昔はオートバイとか自転車で旅をする人がたくさんいたんです。それが激減したんですよ。
大輔
自転車はまた流行って来てますよね。
星野
そうですね。地域で再生するようなことができるといいですね。
若山
旭川は空港から近いのがいいですよね。羽田から始発便に乗れば、9時くらいにはスキー場の上に立つことができちゃう。白馬で、9時に山の上に立つには自宅を3時半くらいには出ないとと思うと、寝ていけるし、全然旭川の方が現実的。金曜の晩に出てもいいしね。
大輔
僕らも札幌エリアのコンディションが良くない時、旭川方面まで2時間半くらいだから日帰りで行くこともありますね。他にも近くにいいところがあるから、ちょっと遠いという感覚ですけど。
若山
僕らからしたら2時間であのコンディションかよ、最高じゃん!と思う。去年も札幌泊まっていたんだけど、朝、天気図見て、やっぱり旭岳に行こうかってなった時もありましたね。

パウダーベルトの上質な雪質を堪能する、前から星野、若山、佐々木

星野
今、富良野エリアの人たちとも協力体制を整えているんです。まだ2年目ですが、昨年より遥かにお客様は増えてますね。前から良さを知っていた若山さんたちからは、あまり流行らせないで、という気持ちもあるんでしょうけれども。。
若山
みんな知っちゃったのね、みたいな(笑)。でも僕より前からその良さを知っている人たちももちろんたくさんいて、黙っていたんだろうから、僕も黙っていたいようなところもあって。
星野
キャパってあるんですか?
大輔
ありますよ。みんな誰も滑ってない斜面を滑りたいわけなので。
若山
とはいえ、まだまだ小さなスキー場はガラガラなんですよね。それが旭川富良野エリアの大きなもうひとつの魅力なんですけど、もっと人が増えてお金を落とすべきなのかなという気もしています。和寒東山なんて3時間券800円ですよ。規模は小さいけど、3時間で十分たのしめる。そこからまたローカルスキー場に行って、それこそハシゴ。こんな遊び方ができるのも旭川くらいかもしれないですね。人を気にしないで滑れるから最高なんですよ。
星野
よくスキー場が維持できていますよね。
若山
本当にそうですよね。
大輔
OMOレンジャーと行くスキー場のハシゴツアーとか面白いんじゃないですか。
星野
面白いですね〜! ローカルスキー場、この先10年とか考えるとどうでしょうね。
大輔
潰れて行くでしょうね。
星野
ある程度維持できるだけのお金が落ちる仕組みを作っていかないとダメなんじゃないですかね。
若山
その通りです。ある程度淘汰されて行くのは仕方ないと思ってるんです。スキー場側が投資して、リフト券などの値段上げた分だけ価値を高めてくれたらいいんですけど、ただ値段上げるだけではスキー離れに繋がっていきますよね。
星野
アルツは2003年、トマムは2004年に引き取って再生してきましたけど、あの頃に比べると遥かに投資環境は良くなっていると思います。意外と設備投資できているところもある。今年は野沢温泉もニセコ花園もゴンドラ投資しましたしね。

トマムのホタルストリートで火を囲みコーヒーブレイク

最後に、今後の旭川エリアにどういう未来をイメージしていますか?

大輔
旭川エリアはまさにポテンシャルがあるんだけど、スキー場だけでなく、スキー場の外に出ていった時に、やっぱり情報も少ないし、駐車場問題など利用のマナーもそうだし、環境整備をして行くとさらによくなる、もっと広がると思いますね。
若山
ローカルスキー場が続けて行けるように、小さな声で宣伝するようにします。
星野
旭川はスキー都市宣言の理にかなっている場所だと思っていて、それが最大の特徴だと思うんです。都市に泊まって、雪山を選んだり、市全体として内容を濃くしていきながら、世界の人たち、そして日本人にも知っていただきたい。首都圏近郊の人気パウダーゲレンデに並ぶより、遥かにいいエリアになればいいなと思います。

※この座談会はコロナ禍の前、2020年1月に収録されたものです。

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雪を楽しめる星野リゾートの施設